前野めり インタビュー@居酒屋【No4/4】

作家 前野めりさんというと「刺繍」というイメージがある。それが、当たり前のように感じるからこそ改めて、なぜ刺繍という方法で作品をつくり始めたのか聞いてみた。

「刺繍」との出会いについて、めりさんにインタビュー!@居酒屋

僕も初めて聞いたことがありました。なにがきっかけになるかなんてわからないよねって話。以下インタビューです。では改めてどうぞー!

「刺繍」で作品をつくっている理由

■「刺繍」で作品をつくっている理由って何かあるの?

今も刺繍で作品をつくっている理由は「続けられたこと」と「最後まで縫えたこと」の2つ。最初に作った作品が15cm×15cmの作品やねんけど、これは我が家(実家)の超かわいいコーギーがいんねんけど、そのアップリケみたいなんをおかんに作ろうと思ったけど、めんどくさくなって放置してたフェルトがあって、、、それを縫いだしたのがキッカケ。

めりさんが刺繍を始めたキッカケ

■改めて聞くけど刺繍を始めたキッカケって何?

まだOLとして働いている時で、社会に疲れ始めていて…。自己啓発本とかを立ち読みして、読みあさっていたら、刺繍をしたら『無』になれるらみたいなのを書いていたから。刺繍自体は幼稚園くらいの時に好きやったらしい。おばあちゃんが縫っているのを見てるのが好きやったみたい。私は図案集が好きやったらしく、これを塗って欲しいとか縫いたいとかあったらしいけど。

刺繍を初めたキッカケとして最初に買ったんは、刺繍キットみたいなんで枠にはめて図案を写して綺麗に縫うやつ。でも、枠にはめて図案を写して綺麗に縫うって意味がわからなかってん。

■それが刺繍キットというものでは?笑

だって見本として掲載されているのが一番綺麗やねんもん。それで「ええやん」ってなってん。OLやったし、お金あったし。その出来上がってるやつ買いますわってなってん。だから自分で作ろうとは思えなくて、つくるのは辞めた。

■それでフリーハンドで縫いだしたの?

下書きして、写すのもめんどくさくて、最初は波縫いだけを、主にしようと思ってた。けれど、日頃描いてたようなイラストとかドローイングといった、自分が描き慣れているものは、フリーハンドでも縫えてしまってん。「あっ刺繍できるやん」ってなった。だから15cm×15cmのフェルトを〝縫いつくこと〟ができたら
何かできるんじゃないかって自分でなったんよ。

■まず15cm×15cmのフェルトを〝縫いつくこと〟を目標にしたのはなんで?

飽き性やから。
絵やったらかけて満足で終わってしまう。私の刺繍は、下書きとかもしないし、何を縫うとかも決めずに「針を進める」っていうのが目的なだけやったから、それを進めると、ちょっとずつ縫っている間に何かの形に見えてきて、それをつくってみる。これを繰り返していたら、どんどん増えていくわけよ。増殖していくわけ。仕事をしながらでも、続けていたら1ヶ月くらいで15cm×15cmが刺繍で埋まった。

これが一番最初に作った150mm×150mmの作品

今ほど作品を見てもらう環境とかないけど、友達の中でのSNSで、途中経過を写真で載せていくと、友達の間でも「えっすごいやん」っていってもらえることでモチベーションを保ててん。それで、これやったらできるってなった。次やってみてもできるし。つくる度にみんなに褒められるし。

褒められることはめっちゃ必要やった。刺繍で作品をつくるとを珍しがられたし、そういう意味で自分の武器を手にいれたと思った。

「刺繍」という表現が自分にあっていると思うこと

■刺繍で表現することが自分にあっているなって思うとこは、どんなとこ?

後戻りできない。描き直せない。後戻りできない作り方やからあってた「前に進むしかない」ってやり方。ドローイングやったら「また、つまらぬモノをつくってしまった」という風になっててん。失敗じゃないのに、自分で失敗と決めてしまっているものをつくっているような感じ。それを続けていても、身にならへんくて、、、

刺繍は本当に「やるっきゃない!」って思いながらつくっていたし、自分でどうなるか想定していないからこそ、できた時に、自分でも自分に「こんなんできた!」って自分自身に褒めれる!「すごい!こんなんできるんや」「えらい!どうしたん?」って自分でなるから。

■めりさんにとって「褒められる」って大事なことなんやね!

認めてもらいたいためではなく、自分のために描いているのに結局やっぱり誰かに「認めてもらいたい」と気づいてしまう。そうすると「自分でもいいなぁ」って思うものじゃないと世に出す時に「これはよくないです」という面がどこかでてしまうから、、、ドローイングとかはだから当時だせなかった。

そういう意味で、「刺繍という自分で手間がかかっていると思える技法」は良いと思っている。3年前はハンドメイドブームみたいなんがあって『刺繍』ってだけでわりとみてもらえることが多かったし、褒めてもらえた。昔は雑貨とかつくってたけど、今は全然つくりたないよねぇ。つくれる人に、任せたらいいと思う。

■今のテーマって何かあるの?

今?ないなぁ。「自由やな。んー自由になりたい!かな」

また、なんか想像できないテーマやね(笑)

これは個展開催前に、めりさんの今年のテーマについてきいたインタビューをまとめた記事です

あとがき
めりさんとの会話を個展の後に聞き直してみると面白くて、今回の個展は刺繍全然なかったやんってなる。でも、何か新しいことにチャレンジして、新しい表現方法をどんどん取り込んで行くんだなぁって感じた。もしかしたら全然違うところに行くかもしれなし、刺繍に戻ってくるかもしれない。予測不能な感じが漂う。

おわり

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